封建的な身分制度や家族制度に立脚した礼儀作法も、第二次大戦後、民主憲法が施行されて、制度のうえから、また観念のうえからも、封建時代の残滓(ざんさい - 残りかす)がとり去られるとともに、礼儀作法のうえでも、過去の残滓がとり去られ、欧米流のエチケットが大幅にとりいれられて、民主主義時代の礼儀作法ともいうべき今日の礼儀作法が生まれたのです。
欧米流のエチケットは、キリスト教の博愛の精神と、自由・平等の思想にもとづいたもので、おたがいに相手の人権を尊重しあい、親愛の情を示しあって、気持ちよくつきあってゆくようにしようというのが根本の態度とされています。
そのうえ、中世の騎士道の精神によって、婦人が尊重された結果、社交上でもつねに婦人を優位におくという習わしがあります。
今日の日本の礼儀作法には、生活様式の相違などからたとえば、おじぎのしかたとか、座敷での坐りかたなどというように、昔ながらのしきたりが数多く残っており、欧米流のエチケットそのままではありませんが、根本の精神においては、エチケットに近いものになってきているといえます。
その今日の礼儀作法のうち、とくに〈冠婚葬祭〉の儀式や行事とつながりの深い作法について、ひととおりまとめてみたいと思います。
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封建時代の礼儀作法は、明治以後も、封建時代の身分制度や家族制度が、多少形を変えて残ったため、伝統的な美風であり、もっとも正しい礼儀作法であるとして、墨守されることとなりました。
そのため、たとえば、警官は良民に対しても、〈オイコラ〉式の高飛車な物言いをしてはばからず、良民もまた、屈辱をこらえて、〈ヘェ、旦那〉式に相手を奉るというようなこともおこなわれ、男女の関係にしても、女性がなにか自分の正しいと思うことを発言しても「女のくせに出しゃばるな」と押さえられ、反対に、なにか正しいと思うことがあっても、「わたしは女ですから、むずかしいことはなにもわかりません」といった態度で控えているほうが、〈女らしく、つつましい〉としてほめられるというふうだったのです。
つまり、第二次大戦が終わるまでの日本の礼儀作法は封建的な身分制度や家族制度に立脚し、官尊民卑、男尊女卑、子は親のもの、召使いは主人に従属するものといった誤った思想を背景としたもので、封建時代の礼儀作法と、さほど遠いものではなかったのです。
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まずは、封建時代の礼儀作法からご紹介します。
鎌倉時代に起こって、江戸時代に完成された封建時代の礼儀作法は、法律や道徳とともに、封建社会の秩序を維持するために組みたてられたものなので、身分や地位、年齢の差、および、性の違いなどによって、一方は他方の上に立ち、他方は一方の下に就くという態度をとるのが正しい作法とされていました。
たとえば、けらいが主君の前に出るときには、定められたとおりに服装をととのえ、下座に着いて平伏しなければならないとか、百姓町人は、殿さまの行列を見たら土下座しなければならない、また、子どもは親に口答えをしてはならないとか、妻は、なにごとも夫に先んじてしてはならないなどとされていたのです。
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〈礼儀作法〉といえば、封建時代のそれを連想して、なんとなく古めかしいもののように思う人があるかもしれません。
しかし、わたくしたちは、けっして、古くさい封建時代の礼儀作法をもちだして、あれこれ、論を立てようというのではありません。
〈礼儀作法〉は、法律や道徳と同様、時代とともに変わるもので、封建時代には封建時代の礼儀作法があったように、民主主義の今日には、今日の新しい礼儀作法があります。
その新しい礼儀作法にもとづいて、話をすすめていこうというのです。
ここで、参考までに、封建時代から今日までの礼儀作法の移り変わりと、封建時代のそれと今日のそれとの根本的な違いを、次回からざっとしるしてみましょう。
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〈彼岸〉とは、仏教の教えで、さまざまな煩悩に満ちた現世を、〈此岸〉(しがん)というのに対して、それらの煩悩を脱却して、悟りをひらいた涅槃の境地を〈彼岸〉といいます。
ところで、仏教では、阿弥陀如来の国 - 極楽浄土は西方十万億土のかなたにあるとされており、仏教徒は、西の方角に対して、強いあこがれの情をいだいていますが、春分または秋分の日には、太陽が真西に沈むため、極楽浄土のある方角が正しくわかるとして、春分の日、または秋分の日の前後七日間、信者たちは、寺参りや墓参りをして、亡き霊を供養するとともに、みずからも、煩悩をふりはらい、悟りをひらいて、〈彼岸〉に到達するたよりを得られるようにと祈るようになったのです。
これが、〈彼岸会〉(彼岸におこなう仏事)です。
大阪の四天王寺などでは、彼岸会には、落日を拝む習わしがありますが、これなど、はっきりと彼岸会の目的を語っているといえます。
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毎年3月21日、または22日ごろの〈春分の日〉と、9月24日、または25日ごろの〈秋分の日〉は、国民の祝日となっています。
この両日は、仏教では、春の(または秋の)〈彼岸の中日〉といい、この日を中心に前後7日間を、春の(または秋の)〈彼岸〉といって、〈彼岸会〉の仏事をいとなんできました。
それが、明治初年の神仏分離の際に、それぞれ、〈春季皇霊祭〉〈秋季皇霊祭〉として、国家の祭日に定められ、各家庭でも、仏教徒はもとどおり、〈彼岸会〉の仏事をいとなんできましたが、昭和23年、〈国民の祝日に関する法律〉によって、それぞれ、〈春分の日〉〈秋分の日〉と改められ、今日にいたったのです。
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《去る、帰る、切れる、戻る、返す、離れる、飽きる、きらう、破る、薄い、褪せる、冷える、浅い、ふたたび、病む、滅びる、こわれる、死ぬ、重ね重ね、返す返す・・・》
また、結納の席には「お茶をにごす」という言葉を嫌ったり、弔事の香典返しに使われるのでお茶を避けるのがならわしとなっています。
そして代わりに、桜湯、昆布茶、九重湯などを出します。
また、お菓子は、鶴亀、松竹梅などのめでたい打ち物の干菓子を紅白の懐紙にのせて出します。
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結婚式の日がきまり、招待状が発せられると、新郎新婦双方の家へはお祝いの客が見えるでしょう。
仲人としても、お祝いを贈るのがマナーですが、その金額や品物はそれぞれのケースによってちがいます。
家同士のつきあいからの橋渡し仲人であれば、両家へ別々にお祝いの品を届けるのが正式ですが、挙式だけの頼まれ仲人であれば、二人に金壱封、または新世帯に必要な品を贈ればよいし、また、媒酌の労をとるだけで別にお祝いを贈らなくとも差しつかえはありません。
お祝いを贈るのは、挙式の前に届けるのが正式の作法ですが、挙式当日に金包みにして現金を新郎に渡してもよいでしょう。
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なにもかも新品で買い整えて送り込むのではなく、なにがあって、なにが欠けているか、また、なにを新品に替えたほうがよいか、双方でよく話しあったうえで、真に必要なもの、あるいはあったほうが便利なものを買い調えるようにします。
いくら、経済的にゆとりがある場合でも、一つあればじゅうぶんで、しかも、まだ、じゅうぶん使用に堪えるものがあるところへ、同種のものを送り込むのは、無駄であるばかりでなく、場合によっては、相手方に、「うちにあるものでは、気に入らないのかしら」と、不快な感じをいだかせることにもなりかねません。
(2)新郎が親または兄姉などの家に住んでいて、挙式後、新婦がその家にはいって、一室または数室で新家庭を営む場合。
また、(2)のように、挙式後、新郎の親または兄姉などと同居する場合も、同様で、新婦側では、経済的にゆとりのある場合でも、勝手に数多くの家具調度を買い整えて送り込むようなことをしないことです。
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新居と家具調度の調え方は、(1)新郎がすでに一戸を構えていて、挙式後、新婦がその住居にはいって、新家庭を営む場合と、(2)新郎が親または兄姉などの家に住んでいて、挙式後、新婦がその家にはいって、一室または数室で新家庭を営む場合、(3)新郎、または新婦、または、どちらかの親などが、家を新築・あるいは購入して、挙式後、新郎新婦はその家にはいって、新家庭を営む場合と、(4)借家またはアパート、マンションなどを借りて、挙式後、新郎新婦がそこにはいって、新家庭を営む場合とで、違ってきます。
住居がすでにある場合(1)新郎がすでに一戸を構えていて、挙式後、新婦がその住居にはいって、新家庭を営む場合
(1)のように、新郎が、すでに、独立家屋なり、アパートやマンションの一室または数室なりに、一戸を構えている場合は、家具調度も、すでに、ある程度、整っている筈ですから、これを新婦の側で調えるにします。
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サクラというと、すぐ特有のイメージが浮かびますが、植物学上はバラ科サクラ属のうち、ウメ、モモ、スモモ、アンズなどをのぞいた花の美しい樹木の一群の総称です。
したがって種類も多いですが、かつてはヤマザクラ、ヒガンザクラ、明治以降は東京染井村(現在の豊島区駒込付近)の植木屋さんによって、ひろめられたというソメイヨシノ(花は一重で大きく、葉の開く前に咲き、華美で花つきもよい)が代表です。
サクラの美しさは「万葉」の昔から歌われていますが、花宴が行なわれるようになったのは平安朝からで、社寺の庭で催すのを桜会、女性ばかりなのを花合とも呼び、豊臣秀吉の醍醐の花見は有名で、新宿御苑の観桜会も知られています。
これが庶民の行楽となったのは江戸時代からとされ、桜狩りともいうのは、鷹狩りに出むいたが、野山のサクラの美しさに、桜見物に代えたというのが起こりです。
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主人とは一家のあるじで、妻が夫をさしていう称に、もっとも一般的につかわれています。
亭主もほとんど同じ意味ですが、亭は東屋といい、四方の柱だけで壁がなく、四方葺きおろしの屋根の小屋ですから、軽快な感じがしないでもありません。
その亭主に関白(万機を補佐する人)をつけて、亭主関白といいますと、亭主はその家で、とくに妻に対して関白ほどの権威がある。の意です。
また、亭主の好きな赤烏帽子という謹言もありますが、あるじの好むものは、たとえ笑われるような乙とでも、家族はこれに従うとの意で、烏帽子はふつう黒ぬりですから、赤いのは異様です。
これとは反対に、夫を妻がないがしろにふるまうことは、亭主を尻に敷く、ですし、宿六は亭主を親しみ、あるいは卑しめていう語で、宿、つまり内宅の禄でなしからきていて、内は自分の属する側のものですし、宅も他人に対し夫を呼ぶ称です。
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嫁見にしても、牛見にしましても、仲人の手びきで婿が内諾ずみのうえ、嫁方に面接にいく方法で、承諾のしるしには"扇子忘れ"といって、わざと扇子などの持ち物を、おいてきたりすることも行なわれていたものです。
このようなかなり男性側の一方的な性質の見合いに対して、その後、都会からはじまったのが、双方が打ち合わせて会同し、相識の機会をつくり、諾否をきめようという新しいタイプのものです。
劇揚や音楽会を利用したり、行楽を共にしたり、食事をいっしょにするなど、相互によく知り合うことを第一にし、双方に意のある場合には交際をかさねて、恋愛結婚に準ずるまでの効果をあげようというものです。
まことに合理的のようですが、一方には乱用の弊もみられないこともなく、見合いやつれということばさえあって、幾度も見合いをして、溌剌さを失なうこともあるようです。
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「ご来賓の皆さま。
本日は○一郎、○恵両君のために、お忙しい中をかけつけてくださいまして、まことにありがとうございました。
私は新郎、○一郎の父親の兄で、田所○介と申します。
本来ならば父親がご挨拶を申しあげるところでございますが、その父親がやむを得ぬ事情でただ今日本におりませんので、私が弟のかわりに両家を代表してご挨拶申しあげる次第でございます。
ご媒酌の木村○吉、○子様ご夫妻をはじめ皆さま方のお力添えをもちまして、○一郎、○恵の婚礼が無事に整いましたことを、深く感謝いたしますと同時に、今日ここでふたりの晴れ姿を見守ることができぬ新郎の父親の胸中を察しますと、胸がいっぱいになる思いがいたします。
新郎、新婦は皆さま方の温かいお言葉に励まされて、さぞかし力強い思いをしていることと思います。
また同時に新たな門出に立ち、未来への不安もすこしはあるかと思います。
何分にも未熟なふたりでありますから、今後いっそう皆さま方のご指導、ご鞭撻をいただかねばならないかと存じます。
どうか皆さま方、ふたりのために今後ともよろしくお願い申しあげます。
また本日はせっかくご出席いただきましても、至らぬ点が多く、皆さまにご不便をおかけいたしたかもしれません。
何とぞご容赦くださいますようお願いいたします。
はなはだ粗略ではございますが、これをもちましてお礼のご挨拶とさせていただきます。」
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手落ちのない、早目の手配。
結婚は人生における最大の儀式です。
間近になってから 慌てたり、手落ちのないように、細心の注意を払って準備を進めましょう。
正式に婚約が成立したら、二人でできるだけ早く相談し、挙式の準備を始めるようにします。
式場の予約、招待状の準備、式服のあつらえなど、思いのほか手間のかかるものですし、式が近づくにつれて忙しさも増してきますので、早目、早目に準備し、余裕のあるスケジュールを立てることが必要です。
また、現在、歯や病気の治療を受けている人は、挙式までに完全に治しておくようにします。
健康な体で式に臨み、新生活を迎えることが相手に対するマナーですし、幸福な結婚生活を送るカギでもあります。
結婚は、未知の生活への楽しい思いと不安とが入り混じった複雑なものです。
結婚生活に関する専門書を読んだり、親しい友人や先輩などに相談をするのもいいでしょう。
身辺整理も、結婚前の欠かせない大きな仕事です。
長年慣れ親しんできたものは、なかなか捨てがたいものですが、新しい生活に不要なものは思い切って処分し、役に立ちそうなものだけ残すようにします。
結婚相手に見せて失礼になるものは、すべて処分しておかねばなりません。
女性の場合は、挙式までの美容計画を立てることも重要です。
美容院に相談をすれば、スケジュールにそって手入れをしてくれますが、式場に付属の美容院があれば、そこを利用したほうが、衣装や髪型など総合的にアドバイスを受けられて、何かと便利ということもあります。
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結納金というのは、男性方から樽肴と帯地料として、女性方からは同じく樽肴と袴地料として金子を包むようになったもので、いまは、このうち樽肴も省略して目録だけになりました。
これがもっとも基本的な現在の結納です。
そこで、男性から贈る帯地料に対して、女性から返す袴地料にどれぐらいの金額を包むかが問題になります。
昔は結納金の額によって嫁入り支度がきまったほどで、かなりはり込んだものです。
しかし、いまは、双方の収入の状態に従って分相応にし、決して気ばる必要はありません。
ふつうのサラリーマンの家庭なら、本人の月給の二、三倍が適当です。
そして、女性方にも額を前もって知らせておき、女性方からのお返しを廃止するよう相談するのが現代的です。
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1. 適材適所へ配置・・・部下の長所・短所をよく知り、適材適所への配置・適切な業務配分に留意する。
「適当にやれ」「任せる」ではなく、職務権限・委任の範囲・報告制度など明確にして、具体的に指示する。
2. 語り合える職場環境づくり・・・日頃から部下の興味・関心・要望などをよく把握し、 話し合う機会を多くとり、腹を割った話合いをもち、相互理解に努める。
3. タイミングのよい指導と動機づくり・・・
(1) 重要な仕事に就くとき
(2) 決裁文書を見て
(3) ミス・トラブル発生
(4) 方針・計画・規則など変更、改正のとき
(5) 質問してきたときなどの機会をとらえて指導する。
4. 段階的な指導・・・
(1)部下の理解と成長の状況をみて、ステップを踏んで行なう
(2)一 度に多くを求めず、計画的にポイントを絞る
(3)柔軟で確実な方法を選ぶ
5. 指導上の留意点・・・
(1)「教えてやる」式の姿勢・堅苦しい指導・説教や精神論は禁物
(2) 変化適応で、形式にとらわれず生きた実践的な指導をする。
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1924年、ハーバード大学E・メイヨー教授らによるシカゴの"ホーソン工場の実験"の結果、次の事柄が明らかとなった。
(1)人間は経済的利益のみでなく、「仕事の目的を知り、達成意義を体感したい。
人間として理解・尊重されたい」など、心理的動機や社会的要因の影響を受けやすい
(2)フォーマル組織の中に、自主的なインフォーマル組織が形成され、集団内部に行動規範をもち、個人の行動を拘束している
(3)生産性を左右するのは、作業条件ではなく、仲間や上役に抱く感情・気分・態度などの人間的要因である。
成員間の人間関係が良好で、満足度が高いほど、仕事の能率が高い。
"ホーソン工場の実験"以来、テーラーの「経済人」仮説から、人は意思と感情をもち、対人関係やインフォーマル組織に依存するという「社会人」仮説と移行し、ヒューマンリレーションの途が開かれ、これが人間開放のきっかけとなり、その後の管理に大きな影響を与えるとともに、行動科学への流れを促進した。
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〈「管理人」仮説〉
近代管理論は、C・I・バーナードを創始者として、1950年代に米国に登場し、H・A・サイモンらによって精緻化された。
伝統的管理論や人間関係論と比較して「管理人」仮説に立脚し、次の特徴をあげた。
(1)人間は自己実現という高度で多様な欲求に動機づけられ、職場のモチベーションは、 より高次な要求の充足である
(2)人間は制約された合理性のもとで、自主的・多面的で複雑な行動をとる
近代管理論は、組織における人間行動の客観的・科学的分析(行動科学)を通じて明らかにされた事実を前提にしており、経営管理の考え方は、次の特徴をもっている。
(1)フォーマル組織の中での人間関係を重視する
(2)人の欲求の分析の成果を基礎としている
(3)人間の個人的欲求と集団欲求との統合をはかるものである
(4)組織目的達成への努力は、「自我要求」「自己実現欲求」の充足が基本となっている
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