封建的な身分制度や家族制度に立脚した礼儀作法も、第二次大戦後、民主憲法が施行されて、制度のうえから、また観念のうえからも、封建時代の残滓(ざんさい - 残りかす)がとり去られるとともに、礼儀作法のうえでも、過去の残滓がとり去られ、欧米流のエチケットが大幅にとりいれられて、民主主義時代の礼儀作法ともいうべき今日の礼儀作法が生まれたのです。
欧米流のエチケットは、キリスト教の博愛の精神と、自由・平等の思想にもとづいたもので、おたがいに相手の人権を尊重しあい、親愛の情を示しあって、気持ちよくつきあってゆくようにしようというのが根本の態度とされています。
そのうえ、中世の騎士道の精神によって、婦人が尊重された結果、社交上でもつねに婦人を優位におくという習わしがあります。
今日の日本の礼儀作法には、生活様式の相違などからたとえば、おじぎのしかたとか、座敷での坐りかたなどというように、昔ながらのしきたりが数多く残っており、欧米流のエチケットそのままではありませんが、根本の精神においては、エチケットに近いものになってきているといえます。
その今日の礼儀作法のうち、とくに〈冠婚葬祭〉の儀式や行事とつながりの深い作法について、ひととおりまとめてみたいと思います。
JDPホールディングス株式会社の関連記事